三菱重工が低炭素アンモニアを台湾で初輸入した台湾肥料と協業
三菱重工業は、アンモニアからの肥料や化学品などの生産、販売を手掛ける台灣肥料股份有限公司(以下、台湾肥料)と、発電燃料として利用するアンモニアのバリューチェーン構築に関する初期検討を行うためのMOU(Memorandum of Understanding:覚書)を締結した。燃料アンモニアバリューチェーンの構築を通じ、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという台湾の目標に貢献することを目指す。
台湾での燃料アンモニアバリューチェーンの基盤を構築するため、台湾肥料とともに、サプライチェーンに含まれるアンモニアの受け入れから貯蔵・ハンドリング・発電所への輸送に至るまでのサプライチェーンの必要設備や、アンモニア発電の事業性に関する検討を実施する。
水素と窒素の化合物であるアンモニアは、水素を効率よく運ぶことができる媒体(キャリア)の1つであり、かつ燃料として直接燃焼することも可能。燃料としてのアンモニアはカーボンフリー燃料としての将来的な活用が見込まれており、その製造から利用までのバリューチェーン構築がカーボンニュートラル社会の実現に大きく寄与することが期待される。
2050年までのカーボンニュートラル社会の実現を表明している台湾では、低炭素燃料の導入が重要な役割を果たしている。台湾肥料は、2023年6月に低炭素アンモニア(注1)を台湾で初めて輸入し、2023年10月にはエネルギー供給事業への参入を表明するなど、ブルーアンモニア(注2)やグリーンアンモニア(注3)の台湾での燃料利用の普及を目指す。
三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成に向け、エネルギー供給側で脱炭素を目指す「エナジートランジション」に戦略的に取り組んでいる。今回の台湾肥料との協業を通じ、台湾における燃料アンモニアサプライチェーンの構築に貢献し、発電分野をはじめとする産業の脱炭素需要に応えていくとともに、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現へ貢献していくとしている。
(注1)製造過程で発生するCO2を分離・回収するなど、サプライチェーンとしてCO2排出量を抑制したアンモニアを指す。
(注2)CO2回収を活用した化石燃料由来の水素(ブルー水素)を利用して製造したアンモニアを指す。
(注3)再生エネルギー電力、水、空気を原料とし、製造時にCO2を排出しないプロセスで製造したアンモニアを指す。
台湾肥料について
台湾肥料は、1936年5月1日に設立された、台湾台北市南港区に本社がある台湾で最大の肥料生産企業。温室効果ガスの削減と2050年のネットゼロ排出政策に向け、経済、環境、社会の3つの側面で優れた成果を上げるため、5つの主要なクリーンエネルギー事業を積極的に推進していいる。詳細は、https://www.taifer.com.tw/を参照。