東芝エネルギーシステムズがインドネシア電力公社グループとCO₂分離回収技術の火力発電所への適用で覚書を締結

火力発電所向けCCS設備の導入に向けた検討

PLN Nusantara PowerのRachmanoe Indarto(ラフマヌー・インダルト氏)Director of Coal Power Plant Operations(中央着席 右側)、東芝エネルギーシステムズ パワーシステム事業部 副事業部長 松下丈彦氏(中央着席 左側)

 東芝エネルギーシステムズは、インドネシア電力公社のグループ会社(PLN-Nusantara Power、以下、PLN)と、東芝エネルギーシステムズのCO2分離回収(CCS注1)技術をPLNが所有するインドネシアの火力発電所へ適用するための覚書を締結した。本覚書に基づき、両社は中長期的に火力発電所向けの小型および大型CCS設備の導入に向けた検討を進める。

 インドネシアは電源構成における火力発電への依存度が80%以上注2(2022年)と高く、依存度の低減を含めた温暖化対策が喫緊の課題となっている。世界的に環境意識が高まる中、インドネシア政府は2060年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しており、対応策の一つとして、石炭やLNGといった化石燃料を使用する火力発電所への低炭素化技術、特にCCS技術の適用に対するニーズが高まっている。

 今般の覚書に基づき、東芝エネルギーシステムズはPLNと、タービンや発電機などの主要機器を納入したインドネシア最大の発電所群であるPLNのパイトン石炭火力発電所1,2号機などの直接保有・運転する発電設備におけるCCS設備の導入に向けた検討を進める。

 CCS設備の運転にはエネルギー消費を伴うが、発電設備の納入とメンテナンスサービスおよび実証試験などで長年培ってきたCCS設備の知見を生かし、CCS設備導入後のエネルギー消費の影響を最小限に抑える。

 また東芝エネルギーシステムズはPLNより、同社が保有するパイトン石炭火力発電所および必要に応じ他の発電所の運転実績データの提供を受ける予定。発電効率を最適化した上で環境に配慮したCCSの分離回収技術の検討やコストの検証を実施しつつ、PLNの技術者と共にCCS設備の導入・運転に関する実現可能性を調査し、それに伴う人材育成支援などを行う。

 東芝エネルギーシステムズは、1981年以降、インドネシアの火力および地熱発電所向けに蒸気タービン32台(合計8,263MW)、水力発電所向けに水車36台(合計2,332MW)を納入。このうち、PLNが運営している4つの火力発電所向けに、蒸気タービン9台(合計1,845MW)を納入している。

注1:CCS(Carbon Capture and Storage):プラントから排出されるCO2を分離、回収する技術
注2:インドネシア政府統計に基づく東芝エネルギーシステムズ推計。URLの9-10ページの表3を参照。
https://gatrik.esdm.go.id/assets/uploads/download_index/files/72f25-web-publish-statistik-2022.pdf(45.38MB)

東芝エネルギーシステムズ製CO2分離回収設備の一例

環境省「環境配慮型CCS実証事業」 CO₂分離回収実証設備