NEDO事業で液化CO2の船舶輸送試験を開始

液化CO2の船舶への荷役、海上輸送、苫小牧基地陸上タンクへの貯蔵を実施

 日本CCS調査株式会社と日本ガスライン株式会社は、日本ガスラインが運航する液化 CO2輸送実証試験船「えくすくぅる」と、日本CCS調査が建設中の陸上基地(苫小牧基地)を使った液化CO2の船舶への荷役(積荷及び揚荷)、港内シフト(海上輸送)、及び苫小牧基地陸上タンクへの貯蔵を、NEDO※1事業※2の一環として、2024年7 月19日~27日に苫小牧港で実施したと発表した。

陸上基地に接岸した「えくすくぅる」(中央のローディングアームを介して液化 CO2 を荷役)
船上のマニホールド(ローディングアームと船を接合して液化 CO2 を移送)

 「えくすくぅる」は、液化CO2の大量・長距離船舶一貫輸送技術の開発を目指した NEDO 事業で開発された低温・低圧での液化CO2 船舶輸送実証が可能な舶用カーゴタンクシステムを組み込まれ、2023年11月に竣工以降、乗組員の習熟や液化 CO2 の荷役作業など NEDO 事業で予定する各種輸送実証試験に備えた諸訓練を行ってきた。

 今回、関係官庁よりの必要承認等を得て、関係者の見守る中、苫小牧港内の岸壁でのローリーから「えくすくぅる」への液化CO2の積載、同岸壁から苫小牧基地への実証船のシフト、並びに同基地陸上タンクへの荷揚げで構成される実証試験を行った。

 液化CO2の従来の一般的な輸送条件は、-20℃、1.9MPaG 前後の所謂中温・中圧だが、今回は、これまでよりも温度を下げた温度-35℃程度の液化 CO2を使った実証試験を初めて行った。

 今後、苫小牧と舞鶴で建設中の両陸上基地が完成後、更なる低温・低圧領域(-50℃、0.6MPaG程度)を含む、様々な輸送条件での本格的な船舶輸送実証を開始する予定。

 NEDO 事業の共同受託者として日本CCS調査は、CO2の液化、液化 CO2の貯蔵・荷役設備を持つ両陸上基地の建設と運転を通じ、CO2 の船舶一貫輸送における陸上設備の最適な温度・圧力条件の探索と技術開発を行う。同じく共同受託者の日本ガスラインは、内航ガス船の運航ノウハウを活用し、「えくすくぅる」による液化 CO2の船舶輸送を担いながら船舶輸送時の CO2 の温度、圧力、流速等のデータ計測を実施し、最適な輸送方法や荷役手法を開発する。

*1 NEDO:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
*2 NEDO 事業:CCUS 研究開発・実証関連事業/苫小牧における CCUS 大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験/CO2船舶輸送に関する技術開発および実証試験