「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年10月21日配信)

エア・ウォーター北海道・産業ガス(株)がLNGトレーラーの製造能力を1.5倍の年間60台に拡大

 エア・ウォーターグループのエア・ウォーター北海道・産業ガス株式会社(本社:北海道札幌市、粕谷 智樹 代表取締役社長)は、低炭素エネルギーとして需要が拡大している液化天然ガス(LNG)のトレーラー生産能力を従来比1.5倍の年間60台に拡大する。同社石狩工場において、2025年4月より第2工場の建設に着手し、…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/10/18/awts-lng-trailer-increased-production/

更新情報(2024年10月15日~10月20日)

▽大阪ガスが天然水素の探鉱・開発・生産で米国「Koloma社」と資本提携
▽岩谷産業「カセットフー “極”」が2024年度グッドデザイン賞を受賞
▽ニッポンハムグループ、セコマ、エア・ウォーターが店内調理の廃食油活用によるCO2削減

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(2024年10月15日配信)

・大阪ガスが天然水素の探鉱・開発・生産で米国「Koloma社」と資本提携
地下数百メートルから数キロメートルの天然鉱床に存在
https://igaspedia.com/2024/10/15/osakagas-koloma-h2/

(2024年10月16日配信)

・岩谷産業「カセットフー “極”」が2024年度グッドデザイン賞を受賞
イワタニカセットフーシリーズの「至高モデル」
https://igaspedia.com/2024/10/16/iwatani-cb-ex-2025-good-design/

(2024年10月17日配信)

・ニッポンハムグループ、セコマ、エア・ウォーターが店内調理の廃食油活用によるCO2削減
日本ハム惣菜(株)北海道工場でボイラー燃料として使用、年間約6.5tのCO2削減
https://igaspedia.com/2024/10/17/airwater-nipponham-secoma/

「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年10月15日配信)

米国オハイオ州立大学が大陽日酸製MOCVDとHVPE装置を採用、最先端の化合物半導体デバイス実現に貢献

 大陽日酸は、米国のオハイオ州立大学に同社製MOCVD装置およびHVPE装置を納入する。オハイオ州立大学は、ワイドバンドギャップ半導体分野において世界的に著名な研究機関で、特に窒化ガリウムや酸化ガリウムなどの次世代パワーデバイス材料に関する研究で卓越した実績を誇る。同大学では、数多くの…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/10/11/tn-sanso-ohio-state-university-mocvd-hvpe/

更新情報(2024年10月7日~10月14日)

▽岩谷産業、男子バレーボールチーム「サントリーサンバーズ」のオフィシャルパートナーシップ契約締結
▽理研計器が中国に生産子会社(合弁会社)を設立
▽セパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)販売実績(2024年7月)
▽液化炭酸ガス 工場出荷実績(2024年8月)
▽溶解アセチレン生産・販売実績(2024年8月)

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(2024年10月9日配信)

・岩谷産業、男子バレーボールチーム「サントリーサンバーズ」のオフィシャルパートナーシップ契約締結
選手が試合時に着用するユニフォーム上着背面にロゴ掲出
https://igaspedia.com/2024/10/09/iwatani-sunbirds-partnership-2024-25/

(2024年10月11日配信)

・理研計器が中国に生産子会社(合弁会社)を設立
「理研计器(常州)电子科技有限公司」
https://igaspedia.com/2024/10/11/rikenkeiki-changzhou-manufacturing-subsidiaries/

(2024年10月13日配信)

・セパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)販売実績(2024年7月)
酸素・窒素・アルゴンとも増加
https://igaspedia.com/2024/10/13/jimga-statistics-separate-gas-202407/

・液化炭酸ガス 工場出荷実績(2024年8月)
前月比、前年同月比ともマイナス
https://igaspedia.com/2024/10/13/jimga-statistics-co2-202408/

・溶解アセチレン生産・販売実績(2024年8月)
生産量、販売量とも大幅減
https://igaspedia.com/2024/10/13/jimga-statistics-acetylene-202408/

「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年10月7日配信)

大陽日酸、俳優の中沢元紀さん起用の新ブランディングムービーを制作

 大陽日酸は、ブランディング活動の一環として、俳優の中沢元紀さんを起用した新しいブランディングムービーを制作した。大陽日酸と関わりのある産業の様子を中沢さんが演じることで、明るくコミカルな内容に仕上げた。ムービーは自社WebサイトやSNSで閲覧できるほか、10 月中旬以降、首都圏沿線の電車内ビジョンやWeb広告でも…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/10/01/tn-sanso-branding-movie/

更新情報(2024年9月30日~10月6日)

▽大陽日酸、北九州学術研究都市内に「TNSC イノベーションセンターひびきの」を開設
▽伊藤忠工業ガス、第一種フロン類引取等業開始
▽エア・ウォーターNVが(株)エムエフケイの株式譲受
▽エア・ウォーターグループの(株)リモハブが、遠隔心臓リハビリシステム薬事承認申請を実施
▽大陽日酸北海道、2024年11月1日出荷分から液化炭酸ガス価格を値上げ
▽日本液炭が(独)国立文化財機構へ「二酸化炭素殺虫処理機材2式」を寄贈
▽ヘリウム・希ガス・カルシウムカーバイド輸入統計(2024年8月分)

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(2024年9月30日配信)

・大陽日酸、北九州学術研究都市内に「TNSC イノベーションセンターひびきの」を開設
半導体向けドライアイスブラスト装置や金属3Dプリンター「RAPIDIA」を設備
https://igaspedia.com/2024/09/30/tn-sanso-ati-tnsc-innovation-center-hibikino/

(2024年10月1日配信)

・伊藤忠工業ガス、第一種フロン類引取等業開始
フロンガスの適切な回収、限られた冷媒資源の再利用処理を推進
https://igaspedia.com/2024/10/01/itc-kogyo-fluorocarbons/

・エア・ウォーターNVが(株)エムエフケイの株式譲受
「アルマイト処理」など、EVや自動運転を視野に処理ラインアップ強化し販路拡大
https://igaspedia.com/2024/10/01/awnv-mfk-manda/

(2024年10月2日配信)

・エア・ウォーターグループの(株)リモハブが、遠隔心臓リハビリシステム薬事承認申請を実施
大阪大学大学院医学系研究科の研究グループが遠隔心臓リハビリの治験完了
https://igaspedia.com/2024/10/02/airwater-remohab-med-osaka-u/

・大陽日酸北海道、2024年11月1日出荷分から液化炭酸ガス価格を値上げ
製鉄所の休風増加で原料炭酸ガス供給量低下
https://igaspedia.com/2024/10/02/tnhokkaido-lco2price-increase-20241101/

(2024年10月3日配信)

・日本液炭が(独)国立文化財機構へ「二酸化炭素殺虫処理機材2式」を寄贈
令和6年能登半島地震被災文化財等救援事業向け
https://igaspedia.com/2024/10/03/n-eco-nich-noto-peninsula-earthquake/

(2024年10月4日配信)

・ヘリウム・希ガス・カルシウムカーバイド輸入統計(2024年8月分)
希ガス輸入量は前月比64.8%減、輸入金額は同73.1%減
https://igaspedia.com/2024/10/04/trade-statistics-import-202408/

「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年9月30日配信)

サントリー白州蒸溜所の蒸溜工程で排気からCO2の高純度回収に成功、国内酒類・飲料業界初、固体吸収法によるCCU実証実験

 サントリーホールディングス、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズは、サントリー白州蒸溜所において、「固体吸収法」を用いたCO2回収実証試験を行い、蒸溜工程で発生する低濃度のCO2を99.5%以上の高純度で分離・回収することに…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/09/24/suntory-tokyo-gas-tges-ccu/

更新情報(2024年9月24日~9月29日)

▽CE&IGグループがLNG 燃料船向け再液化システムで仏GTT社と提携
▽二酸化炭素の流通を可視化、e-methaneの環境価値管理や移転のデジタルプラットフォーム
▽日本酸素HD、統合報告書「Integrated Report 2024」を発行
▽サーモス、サンゴ礁やウミガメのイラストが描かれた沖縄限定のデザインボトルを発売

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(2024年9月24日配信)

・CE&IGグループがLNG燃料船向け再液化システムで仏GTT社と提携
ボイルオフガスを抑制しGHG排出削減に貢献
https://igaspedia.com/2024/09/24/nikkiso-ceig-gtt-recycool/

(2024年9月25日配信)

・二酸化炭素の流通を可視化、e-methaneの環境価値管理や移転のデジタルプラットフォーム
「CO2NNEX(コネックス)」を2025年日本国際博覧会で実装
https://igaspedia.com/2024/09/25/osakagas-mhi-co2nnex-expo2025/

・日本酸素HD、統合報告書「Integrated Report 2024」を発行
中期経営計画「NS Vision 2026」最終年度(2026年3月期)のありたい姿を明示
https://igaspedia.com/2024/09/25/nipponsanso-hd-integrated-report-2024/

(2024年9月26日配信)

・サーモス、サンゴ礁やウミガメのイラストが描かれた沖縄限定のデザインボトルを発売
沖縄や世界のサンゴ礁保全「OIST サンゴプロジェクト」を支援
https://igaspedia.com/2024/09/26/thermos-oist-mug-okinawa/

「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年9月24日配信)

大陽日酸、カーボンニュートラル実現に向けCCS用CO2出荷タンク設備を開発

 大陽日酸は、カーボンニュートラル(CN)社会実現に向け、同社工業ガス製品貯蔵タンクの製品ノウハウを活かし、“CO2分離回収/貯蔵・貯留”(CCS)のバリューチェーン構築に欠かせないCCS用出荷タンク設備を開発した。2025年春から…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/09/20/tn-sanso-ccs-co2-storage-tank/

更新情報(2024年9月17日~9月23日)

▽日本酸素HDが「TNFDフォーラム」へ参画
▽液化炭酸ガス 工場出荷実績(2024年7月)
▽溶解アセチレン生産・販売実績(2024年7月)

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(2024年9月17日配信)

・日本酸素HDが「TNFDフォーラム」へ参画、産業ガス業界で初めて「TNFD Adopter」へ登録
https://igaspedia.com/2024/09/17/nipponsanso-hd-tnfd-participation/

(2024年9月23日配信)

・液化炭酸ガス 工場出荷実績(2024年7月)
出荷量61,070トン、前月比16.2%増、前年同月比0.9%増
https://igaspedia.com/2024/09/23/jimga-statistics-co2-202407/

・溶解アセチレン生産・販売実績(2024年7月)
販売量499,159kg、前月比0.2%増、前年同月比1.2%増
https://igaspedia.com/2024/09/23/jimga-statistics-acetylene-202407/

「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年9月17日配信)

大陽日酸とスギノマシンが金属積層造形機能搭載したマシニングセンタを製品化、「回転 TIG 溶接技術」と金属AM向け専用トーチ「3DPro RotoTIG(ロトティグ)」を開発

 スギノマシン(富山県滑川市、杉野 良暁 代表取締役社長)は、金属積層造形機能を搭載したマシニングセンタの開発に着手した。装置には、大陽日酸が開発した金属アディティブ・マニュファクチャリング(金属 AM)向けの「3DPro RotoTIG(ロトティグ)」 専用トーチを搭載し、金属積層造形と切削加工が1台で行える。大陽日酸独自の「回転TIG溶接技術」と、…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/09/11/tn-sanso-sugino-3dpro-rototig/

更新情報(2024年9月9日~9月16日)

▽サイサンとLiLzが共同でLGCのモバイル残量監視システムを実現
▽岩谷産業が日本初の水素ファンド「Japan Hydrogen Fund」へ出資
▽セパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)販売実績(2024年6月)

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(2024年9月12日配信)

・サイサンとLiLzが共同でLGCのモバイル残量監視システムを実現
残量確認の訪問時間を削減、可視化により配送効率化
https://igaspedia.com/2024/09/12/saisan-lilz-lgc-lilz-gauge/

(2024年9月13日配信)

・岩谷産業が日本初の水素ファンド「Japan Hydrogen Fund」へ出資
JH2A、アドバンテッジパートナーズ、三井住友DSアセットマネジメントが設立
https://igaspedia.com/2024/09/13/iwatani-japan-hydrogen-fund-lp/

(2024年9月16日配信)

・セパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)販売実績(2024年6月)
酸素販売実績は前月比7.7%減、前年同月比3.5%減
https://igaspedia.com/2024/09/16/jimga-statistics-separate-gas-202406/

「GASpedia(ガスペディア)」更新情報(2024年9月9日配信)

山形酸素がさくらんぼの品質保持で「特定ガス組成」の独自技術を確立、保管期間の延長や海外需要家への販路を拡大

 山形県内陸部を中心にLPガス・産業用ガス・医療用ガスの販売行う山形酸素株式会社(本社:山形県山形市、島津康 代表取締役社長)は、独自技術の「特定ガス組成」を用いることでさくらんぼのカビの発生を抑制し、食味を含む品質の変化が少なくなることを…(続きはリンクから)
https://igaspedia.com/2024/09/05/sunene-map-sakuranbo/

更新情報(2024年9月2日~9月8日)

▽鈴木商館、東北支店 郡山営業所を移転(2024年9月2日付)
▽伊藤忠工業ガスが栃木営業所を開設
▽パリ2024オリンピック・パラリンピックの公式車両「トヨタMIRAI」に新コスモス電機の水素ディテクタ搭載
▽木質バイオマス発電所のCO₂を利用したBECCS育苗システムの実証実験を開始
▽エア・ウォーターが一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会に入会
▽エーテック設備検査成績書の不正行為調査結果を公表
▽大陽日酸 組織変更・人事異動(2024年10月1日付)

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(2024年9月2日配信)

・鈴木商館、東北支店 郡山営業所を移転(2024年9月2日付)
営業所機能強化でサービスの向上
https://igaspedia.com/2024/09/02/suzukishokan-koriyama-office-moving/

・伊藤忠工業ガスが栃木営業所を開設
栃木エリアでの販売力および顧客サポート強化
https://igaspedia.com/2024/09/02/itc-kogyo-tochigi-office-open/

(2024年9月3日配信)

・パリ2024オリンピック・パラリンピックの公式車両「トヨタMIRAI」に新コスモス電機の水素ディテクタ搭載
500台が大会関係者やアスリート、ボランティアに提供、大会終了後にはタクシーとしてパリ市内で利用
https://igaspedia.com/2024/09/03/new-cosmos-mirai-h2-detector/

(2024年9月4日配信)

・木質バイオマス発電所のCO2を利用したBECCS育苗システムの実証実験を開始
住友大阪セメントとオムニア・コンチェルトが共同で着手
https://igaspedia.com/2024/09/04/omcon-soc-beccs/

・エア・ウォーターが一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会に入会
核融合発電の実用化に向けた技術開発を推進
https://igaspedia.com/2024/09/04/airwater-j-fusion/

(2024年9月6日配信)

・エーテック設備検査成績書の不正行為調査結果を公表
該当設備すべてに安全性を確認、高圧ガス保安協会(KHK)へ報告
https://igaspedia.com/2024/09/06/iwatani-a-teckk-khk-report/

・大陽日酸 組織変更・人事異動(2024年10月1日付)
「ガスシステム統括部」を新設。ガスシステム部を「ASU計画部」に改称、「PSA計画部」を新設
https://igaspedia.com/2024/09/06/tn-sanso-personnel-change-20241001/

日機装、火力発電向け液体アンモニア用ポンプの性能試験に成功

キャンドモータを使ったサブマージド構造で世界最大級132kW

 日機装は、モータ容量132kWの液体アンモニア用ポンプで、液体アンモニア(-33℃)と液温が近いLPG(-42℃)を送液するLPG性能試験に成功し、設計値通りの性能を確認した。本ポンプは、液体アンモニアを外部に漏らさないサブマージド構造(ポンプとモータを液中に沈めた構造)で、腐食性のあるアンモニアからモータを防ぐためキャンドモータを採用した。

 キャンドモータを使ったサブマージド構造のアンモニアポンプとしては、世界最大級のポンプによる試験になる。本ポンプは、燃料の一部にアンモニアを混ぜて使う火力発電所の貯蔵タンクに設置し、ボイラ設備に送液する用途に合致する。

写真(左)試験後のアンモニアポンプ、写真(右)クライオジェニックポンプ試験設備

既存のキャンドモータ技術を大型化

 日機装はすでに、液体アンモニア用キャンドモータポンプの技術を確立、商業化しており、アンモニア冷媒冷凍機向けなどに世界で数千台納入した実績がある。駆動部のモータとポンプが分離している通常のポンプは、接続部から液漏れが発生するが、モータがポンプ内に組み込まれているキャンドモータポンプは、接続部が無いため液漏れしない。また、ポンプ内部に組み込んだモータは、腐食性のある液体アンモニアに触れて劣化することを防ぐため、液体の流路から隔離した構造となっている。

 脱炭素社会の実現に向けて、液体アンモニアは新たに発電燃料や水素キャリアとしての用途が期待されている。特に、火力発電所やアンモニア基地におけるアンモニア貯蔵タンクでの利用では、従来より大規模な移送が必要とされるため、ポンプの大型化が求められている。

液体アンモニアを使う火力発電所でのポンプ設置場所
液体アンモニアを使う火力発電所でのポンプ設置場所

 そのため、日機装はLNG基地などでの大量移送に使うクライオジェニックポンプの技術を取り入れて大型化を図り、液体アンモニア用ポンプを開発した。クライオジェニックポンプで採用しているサブマージド構造により、液体アンモニアのタンク外部への漏洩を防ぐこともできる。

 今回のLPG性能試験では、キャンドモータを使ったサブマージド構造の液体アンモニアポンプとしては世界最大級のモータ容量132kWで、LPGの送液に成功。火力発電所の貯蔵タンクでの利用に合致する規模で性能試験に成功できたのは、日機装がキャンドモータポンプとクライオジェニックポンプいずれの領域でも長年、技術と知見を蓄積してきたためとしている。

LPG性能試験

 LPG性能試験は、液体アンモニア(-33℃)と温度帯が近似しているLPG(-42℃)を使って実施する性能試験。ポンプは-33℃の液体アンモニアに浸かると冷却されて、それぞれの金属部品が収縮するなどの影響を受ける。今回、より実機に近い形状・腐食対策を施したポンプで、液体アンモニアでの運転環境に近い状態で試験を行ったことで、実際の運転時に近似したデータを取得でき、液体特性に対するポンプの健全性を確認した。

今後の展開

 国内では、早ければ2027年度にも火力発電所で20%のアンモニアを混ぜた商業運転をする計画があり、日機装は2026年にも火力発電向け液体アンモニア用ポンプを市場投入する計画。また、ポンプの大型化を図り、混焼率引き上げへの対応や、アンモニア基地PCタンク用途への展開を進める。

 ※PCタンク…強化コンクリートタンクで、壁面から配管を取り付けることができない。

 今回のLPG性能試験を実施したのは、宮崎日機装(宮崎市)にあるクライオジェニックポンプ試験設備。実際のLNGやLPGを使って性能試験を行い、(極)低温の液体がポンプに与える影響などを確認することができる。火力発電所向け液体アンモニアポンプは、日本やアジアを中心に需要が拡大する見通し。

市場見通し

 燃料アンモニアは、2050年カーボンニュートラルに向けた火力発電の燃料としての期待が高まっており、経済産業省を中心に作成された『2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(2021年)において、国内では2030年に年間300万トン、2050年に3000万トンの需要があると想定されている。

 また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業における『「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画』(経済産業省、2024年)では、発電とサプライチェーンの構築による燃料アンモニアの世界市場は、2030年時点で年間約0.75兆円(発電:0.15 兆円、サプライチェーン:0.6 兆円)、2050年時点で年間約7.3兆円(発電:1.7 兆円、サプライチェーン:5.6 兆円)と算出されている。

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告『INNOVATION OUTLOOK RENEWABLE AMMONIA』(2022年)によると、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑えるためのシナリオに沿うと、世界全体のアンモニア需要は2020年代後半から船舶用燃料、水素キャリア、燃料混焼用途で伸びを見せて、2050年に約6億8800万トンに達し、これは2025年の予測需要から3倍以上伸びる計算となる。

液化CO2輸送実証船「えくすくぅる」がLPG 輸送実証試験を実施

九州液化瓦斯福島基地で LPG を積載

 日本ガスラインは NEDO※1事業※2の事業者の 1 者として主に液化 CO2 輸送実証船「えくすくぅる」を使った輸送実証試験を担っており、2024年 9 月 2 日~4 日の間、長崎県松浦市の九州液化瓦斯福島基地株式会社(基地)において LPG 輸送実証試験を実施した。

九州液化瓦斯福島基地株式会社で LPG を積載している「えくすくぅる」(写真提供:NEDO、山友汽船株式会社)
九州液化瓦斯福島基地株式会社で LPG を積載している「えくすくぅる」(写真提供:NEDO、山友汽船株式会社)

 本事業では、初期段階で液化 CO2 と LPG の輸送が共に可能な兼用船の有用性が整理・検討された結果、起用する実証船を兼用仕様とすることを決定。本事業で研究開発され、実証船に組みこまれた舶用カーゴタンクシステムも、この決定に則し兼用仕様となっている。

 今回、本事業の一環として兼用仕様の有効性を検証するため、先ずは N2 と LPG を使ったカーゴタンクシステムの雰囲気置換を行い、その後、実証船を基地にシフトし、LPG 積荷役、積状態での海上輸送、及び同基地での揚荷役、とのプロセスで実証試験を行った。本事業では、液化 CO2 の輸送実証試験が主体となるが、今後も LPG 輸送実証を複数回実施し、兼用船としてのカーゴタンク及び荷役機器の健全性や輸送時の船体バランスなどを検証する予定。

 日本ガスラインは、内航ガス船の豊富な運航ノウハウを活用し、本事業において「えくすくぅる」による船舶輸送実証試験を実施し、その中で液化 CO2 の温度、圧力、流速等の計測・データとしての蓄積・分析を行い、船舶による液化 CO2 の最適な輸送方法や荷役手法の開発に取り組む。

※1 NEDO :国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
※2 NEDO 事業:CCUS 研究開発・実証関連事業/苫小牧における CCUS 大規模実証試験/CO2 輸送に関する実証試験/CO2 船舶輸送に関する技術開発および実証試験

Daigasエナジーが脱臭プロセスのCO2削減を初期投資ゼロで提供する「D-Remove」を開始

脱臭装置をよりCO2排出の少ない方式に更新

 大阪ガスの100%子会社のDaigasエナジーは、工場を対象に脱臭プロセスで発生するCO2の削減を初期投資ゼロで提供するサービス「D-Remove(ディーリムーブ)」を2024年9月4日より開始する。

「D-Remove」サービス概要イメージ
「D-Remove」サービス概要イメージ

  Daigasエナジーは、Decarbonization(低・脱炭素化)、Decentralization(分散化)、Digitalization(デジタル化)の3つのDを軸としたサービス「D-Lineup」を中心に、エネルギー会社の強みを活かした低・脱炭素ソリューションを提供する。「D-Remove」は、大気汚染や悪臭公害の原因となる揮発性有機化合物(VOC)※1を除去し脱臭するプロセスで発生するCO2の削減を初期投資ゼロで提供するサービスで、脱臭装置をよりCO2排出の少ない方式に更新するとともに、IoTサービス等も活用しCO2マネジメント※2を実現する。

 VOCの脱臭は燃焼により臭気成分を酸化分解させる燃焼式脱臭装置が広く使われているが、「D-Remove」では燃焼時の排熱回収により高いエネルギー効率で酸化分解させる「蓄熱燃焼式」や低濃度臭気成分を濃縮し効率よく酸化分解させる「濃縮燃焼式」などの「燃焼式高効率脱臭装置」と、活性炭等により臭気成分を吸着しVOCを回収する「VOC回収装置」を用意し、顧客のニーズや設置スペースなどの条件に応じて最適な装置を提案する。

 「燃焼式高効率脱臭装置」、「VOC回収装置」により脱臭した場合のCO2排出量を一定の条件下で試算※3し、比較的構造がシンプルで幅広く利用されている「直接燃焼式脱臭装置」と比較したところ、CO2排出量は「燃焼式高効率脱臭装置」は57%減、「VOC回収装置」は80%減となった。

※1:蒸発しやすく(揮発性)、大気中で気体となる有機化合物の総称。VOCは様々な成分があり、酢酸エチルなど塗料や接着剤等に含まれる溶剤やガソリンから揮発してくるトルエンやキシレンなどが代表的な成分。
「地球温暖化対策の推進に関する法律」等の改正により、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の対象となる「非エネルギー起源二酸化炭素の算定対象活動」にVOCを含む溶剤の焼却が追加され、非エネルギー起源二酸化炭素を年間3,000トン以上排出している事業者は国への報告が必要となった。
※2:アスエネ株式会社が提供するCO2可視化サービス「ASUENE」と、Daigasエナジーが提供する工場IoTサービス「D-Fire」を用いて、脱臭プロセスにおけるCO2排出のマネジメントを実現。
※3 :[CO2排出量 試算条件] VOC種類:溶剤(酢酸エチル)、処理風量:300m3N/min、稼働時間:6,240h/年(260日/年×24h/日)、溶剤購入量(VOC焼却量):660t/年、CO2排出係数:ガス2.29kg/m3、電気0.42kg/kWh、溶剤2.35kg/kg