脱臭装置をよりCO2排出の少ない方式に更新
大阪ガスの100%子会社のDaigasエナジーは、工場を対象に脱臭プロセスで発生するCO2の削減を初期投資ゼロで提供するサービス「D-Remove(ディーリムーブ)」を2024年9月4日より開始する。
Daigasエナジーは、Decarbonization(低・脱炭素化)、Decentralization(分散化)、Digitalization(デジタル化)の3つのDを軸としたサービス「D-Lineup」を中心に、エネルギー会社の強みを活かした低・脱炭素ソリューションを提供する。「D-Remove」は、大気汚染や悪臭公害の原因となる揮発性有機化合物(VOC)※1を除去し脱臭するプロセスで発生するCO2の削減を初期投資ゼロで提供するサービスで、脱臭装置をよりCO2排出の少ない方式に更新するとともに、IoTサービス等も活用しCO2マネジメント※2を実現する。
VOCの脱臭は燃焼により臭気成分を酸化分解させる燃焼式脱臭装置が広く使われているが、「D-Remove」では燃焼時の排熱回収により高いエネルギー効率で酸化分解させる「蓄熱燃焼式」や低濃度臭気成分を濃縮し効率よく酸化分解させる「濃縮燃焼式」などの「燃焼式高効率脱臭装置」と、活性炭等により臭気成分を吸着しVOCを回収する「VOC回収装置」を用意し、顧客のニーズや設置スペースなどの条件に応じて最適な装置を提案する。
「燃焼式高効率脱臭装置」、「VOC回収装置」により脱臭した場合のCO2排出量を一定の条件下で試算※3し、比較的構造がシンプルで幅広く利用されている「直接燃焼式脱臭装置」と比較したところ、CO2排出量は「燃焼式高効率脱臭装置」は57%減、「VOC回収装置」は80%減となった。
※1:蒸発しやすく(揮発性)、大気中で気体となる有機化合物の総称。VOCは様々な成分があり、酢酸エチルなど塗料や接着剤等に含まれる溶剤やガソリンから揮発してくるトルエンやキシレンなどが代表的な成分。
「地球温暖化対策の推進に関する法律」等の改正により、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の対象となる「非エネルギー起源二酸化炭素の算定対象活動」にVOCを含む溶剤の焼却が追加され、非エネルギー起源二酸化炭素を年間3,000トン以上排出している事業者は国への報告が必要となった。
※2:アスエネ株式会社が提供するCO2可視化サービス「ASUENE」と、Daigasエナジーが提供する工場IoTサービス「D-Fire」を用いて、脱臭プロセスにおけるCO2排出のマネジメントを実現。
※3 :[CO2排出量 試算条件] VOC種類:溶剤(酢酸エチル)、処理風量:300m3N/min、稼働時間:6,240h/年(260日/年×24h/日)、溶剤購入量(VOC焼却量):660t/年、CO2排出係数:ガス2.29kg/m3、電気0.42kg/kWh、溶剤2.35kg/kg