下水道施設発生の再生水と消化ガス活用でe-メタン製造実証

東京ガス横浜テクノステーションのメタネーション実証設備でCCU

 東京ガスは、2022年1月に横浜市と締結した協定*1に基づき、横浜市北部下水道センター(以下「北部下水道センター」)の再生水(下水処理した水をろ過した水)と消化ガス(下水汚泥を処理する工程で発生するバイオガスで、CH4とCO2の混合ガス)を東京ガス横浜テクノステーションにあるメタネーション実証設備に輸送し、水素およびe-methane(以下「e-メタン」)製造の原料として利用する共同実証を開始した。

 東京ガスでは、2023年7月より横浜市資源循環局鶴見工場(以下「鶴見工場」)の排ガスから分離・回収したCO2をメタネーションの原料として活用するCCU共同実証*2を推進してきた。今回、地域連携をさらに拡大し、北部下水道センターで発生する再生水や消化ガスもメタネーション実証設備に輸送し、それぞれ、水電解による水素製造用の原料水、およびe-メタン製造用の原料CO2として活用することで、将来のカーボンニュートラル化へ向け、より環境を重視した地域連携モデルとしての可能性・有効性を検証する。

北部下水道センターから受入れた再生水(左写真)と消化ガス
北部下水道センターから受入れた再生水(左写真)と消化ガス

 

*1:横浜市と東京ガスがメタネーションの実証試験に向けた連携協定を締結(2022年1月18日発表)
*2:ごみ焼却工場の排ガスからのCO2回収とメタネーションへの利用実証の開始(2023年7月28日発表)
*3:東京ガスグループにおけるオフサイトコーポレートPPA小売供給事業の実施について(2023年5月30日発表)

豪州中東部クーパーベイスンのムーンバでe-メタンの製造・輸出のPre-FEEDを開始

2030年以降に年間約13万トン(都市ガス約1億8,000万m3分)以上のe-メタン製造・輸出を目指す

 東京ガスと大阪ガス子会社のOsaka Gas Australia Pty Ltd、東邦ガス、豪州エネルギー企業Santos Ltd(以下「サントス社」)子会社のSantos Ventures Pty Ltdの4社は、豪州中東部のクーパーベイスンのムーンバにおけるe-methane*1(以下「e-メタン」)の製造と日本への輸出プロジェクトの詳細検討(Pre-FEED)実施に関する覚書を締結した。

 本詳細検討は、2025年3月までの期間に技術や制度、商務に関する検討を4社共同で実施し、2030年以降に年間約13万トン(都市ガス約1億8,000万m3分)以上のe-メタンを製造・日本に輸出することを目指す。検討にあたり、経済産業省の「令和6年度 資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金」*2を活用する。

プロジェクトのイメージ図
ムーンバの位置図と日本への輸出のイメージ
ムーンバの位置図と日本への輸出イメージ

*1:グリーン水素等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタン
*2:資源国における化石燃料産業等の基盤施設・設備の脱炭素化・低炭素化に係る取り組みや、水素、アンモニア、バイオ燃料をはじめとする産業の脱炭素化・低炭素化に資する燃料分野にかかる日本の有する先端技術の移転に係る取り組みの調査・研究等を実施する事業を対象
令和6年度「資源国脱炭素化・エネルギー転換技術等支援事業費補助金」に係る補助事業者の一次公募について|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
*3 二酸化炭素(CO2)と水素(H2)の反応により、都市ガスの主成分となるメタン(CH4)を合成する技術。

本プロジェクトの概要

関係各社の概要

サントス社

社名Santos Ltd
代表者名Kevin Gallagher
設立1954年3月
本社所在地オーストラリア サウスオーストラリア州

Santos Ventures Pty Ltd

社名Santos Ventures Pty Ltd (サントスベンチャーズ社) [サントス社 100%子会社]
代表者名Kevin Gallagher
設立2007年2月
本社所在地オーストラリア サウスオーストラリア州

大阪ガス株式会社

社名大阪ガス株式会社
代表者名藤原 正隆
設立1897年4月
本社所在地大阪府 大阪市

Osaka Gas Australia Pty Ltd

社名Osaka Gas Australia Pty Ltd [大阪ガス株式会社 100%子会社]
代表者名大塚 洋
設立2000年8月
本社所在地オーストラリア ウエストオーストラリア州

東邦ガス株式会社

社名東邦ガス株式会社
代表者名増田 信之
設立1922年6月
本社所在地愛知県 名古屋市